貧困旅行記

2013年08月31日
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読書
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漫画家・つげ義春の貧困旅行記を読み終えた。
本作は漫画ではなく紀行文である。

日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――
やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。
窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。
主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。

裏表紙より


突然に思い立ったかのような、蒸発を目的とした九州への逃避行を始まりとし、
家族との思い出の旅行から世の中とはズレてしまったような空気を感じさせる場所への旅が語られる。
つげ義春は幾度となく田舎の廃墟ぜんとした住まいへの移住を考えるが、僕の知るかぎりそれはすべて「憬れ」のままで終わっている。

なぜここまで強く憬れていても都会を捨てられなかったのかは本人以外は知る由もないが、
僕も孤独で質素で自分の抱える闇とだけ会話するような生活はいつまでも「憬れ」のままであり、
これから先どんな変化があろうと都市機能や他人に依存した生活を送っていくのは間違いないだろう。

僕はたまにこの「憬れ」に押しつぶされそうになるほどの焦りや束縛を強く受け心を掻き乱される。
「お前はこう生きなければいけないんだ!」という強いるようなプレッシャーを自分の「憬れ」そのものから感じ精神を疲弊させられる。

つげ義春にもそんな気分はあっただろうか?

  
貧困旅行記 (新潮文庫)



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番号なし
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