第三の時効

2014年02月18日
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読書
天気は悪いし寒いしでずっと本ばかり読む日々。
横山秀夫の「64」が本当は読みたいのだけど2000円くらいするし、図書館だと3ヶ月の予約待ちだし読めそうにもない。
文庫化するまでまだまだ時間が掛かりそうなので仕方なく今は我慢する。
そのかわり同氏の「第三の時効」を4度目くらいの再読をした。

「第三の時効」
F県警捜査第一課強行犯係を主役とする短編小説集。
短編集ではあるが出てくる登場人物はすべて同じ課の人間たちである。
別の話の脇役が今回の主役、今回の主役が別の話の脇役となり1つの世界を形作っている。

強行犯係は3班に分かれており、それぞれ特徴ある班長を有している。

1班・班長「青鬼」朽木。
一度も笑みを見せたことのない男。理詰めの王道的な捜査を得意とする。

2班・班長「冷血」楠見。
元公安。搦め手、謀略的な捜査を得意とする。

3班・班長「天才」村瀬。
事件の本質を動物的勘で見抜く。閃き、直感を駆使した捜査を得意とする。

彼らは一般の刑事たちと違い、まるで犯罪者と同化してしまったかのような雰囲気を漂わせる。
一般的な刑事の構えを「執念」「職人」「プロ根性」と評するなら
彼ら3人は「情念」「呪詛」「怨嗟」といった禍々しい単語群だろうと彼らを束ねる田畑課長は評す。

この警察小説がすごい! ALL THE BEST(宝島社)第一位の本作
キャラクターの出来だけではなくミステリ部分も面白いし、それ以外の組織と個人、組織の倫理と個人の倫理、そのズレの激しい摩擦がまた面白い。
仕事の人間関係は全て仕事が基軸であり、情を基軸とした友や信頼などは薄い。同じ課の人間でも、上司と部下でも食うか食われるか。
上司と部下の直接的なぶつかり合いは「第三の時効」にはあまり無いが、横山秀夫はそれを書くのが上手い点も知っておいて欲しい。
代表作でもある「クライマーズ・ハイ」にはその手腕が遺憾なく発揮されている。
仕事を基軸とした信頼は仕事が出来ない人間と見抜かれれば崩れ去る。
昨日まで自分を慕っていた部下や、信頼していた上司の関係が突如として崩壊する。
横山秀夫の世界で陰口を言われ続けることは少ない、正面きって罵詈雑言を言い合うまでに発展するのがこの著者の世界だ。

「笑うんじゃねえ」
「笑うんじゃねえと言ったろう!」

「ならば辞表を出してから好きなだけ淫売にぶち込め」
「黙れ、公安野郎!」

「ポリグラフは嘘をつきませんよ」
「人間よりはましでしょう」

「馬鹿野郎、てめえなんぞ上司だと思ってねえ!」

「この鬼畜野郎ォ!」

ギスギスしてて汚くて仕事が一番で他人を食ってでも仕事をものにしたい。そんなB+ライフとは程遠い世界の話を読みたいなら是非とも横山秀夫作品をオススメします。


「タマを抜かれちまったサツカンなんぞに興味はねーんだ。さっさと本社に帰って幹部のケツの穴でも舐めてな!」
俺選・横山秀夫作品名言集より


第三の時効 (集英社文庫)




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番号なし
Posted by 番号なし
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